カタツムリに変身し、都会の喧騒の中に潜む静かな路地を散策
賑やかな大通りにたたずむ本棚風に彩色された装飾が、日陰の路地に隠れたサプライズの存在をこっそり伝えています。この本棚風の装飾が目に入ると、もう蝸牛巷に到着。どうぞ怪しまずに、そのまま路地に進んでください。中西区に位置する蝸牛巷は、永福路二段、民生路一段、西門路二段、中正路に囲まれた一帯の路地を指しており、繁華街に隣接していながらも、この上なく静かで、思わず足を緩めてしまう場所です。
蝸牛巷の中では、シンプルモダンなスタイルを融合させた赤レンガの古い建物が、古都の歴史を静かに物語っています。カタツムリのまねをして、文学の息吹に満ちた温かみのある路地の中を、ゆっくり静かに進みながら、隅々に隠れたカタツムリのオブジェを探してみてください。観光客に自分の姿をカメラに収めてもらおうと、大げさに目立った場所に立つ明るく活発なカタツムリもいれば、うっかりすると見逃しかねない、人目につかない隅っこや壁際に控えめに隠れたカタツムリもいます。蝸牛巷を訪れた際は、そんなカタツムリたちをぜひ見つけてみてください。
文学の巨匠の人生を伺い知る
「蝸牛巷」の名は、台湾の文学者の葉石涛が『往事如雲』という小説の中で言及している「蝸牛巷」から名付けられました。現在の蝸牛巷が位置する場所は、葉石涛の台南での最後の旧居があった場所で、蝸牛巷の床ブロックには、『往事如雲』の文章の一部が刻まれています。
葉石涛が描いた場面をもとに作られた背景セットと3D壁画アートを眺めながら、その中に記された文の意味合いをじっくり吟味していると、まるで葉石涛が当時住んでいた蝸牛居(カタツムリの殻のように狭苦しい家)の空間に足を踏み入れたかのようで、簡素ながらも温かみがあり、狭いながらも地道な暮らしぶりが伺えます。
この著名な人物の生涯について知りたいという方は、ぜひ近くにある葉石涛文学館を訪れ、葉石涛が書き残した文章を通して、その文学の志に触れてみてください。
ぜひ休日を利用し、日頃頑張ってきた自分へのご褒美として、カタツムリの一員になったつもりで、数々のカタツムリたちと路地をのんびり散策してみてください。