在地藝文

吉貝耍平埔文化園区

吉貝耍は市道165号線のそばにある美しい小さな村です。シラヤ族の発音でKabua-suaと言い、キワタを意味します。ここはキワタが美しい集落でもあるのです。時代の移り変わりによって、キワタは村から徐々に失われてしまいましたが、身体に流れる血は民族にいつでも、自分がシラヤ族であることを感じさせています。アリム(阿立母)と祖霊に見守られ、アリムの祝福によって民族と土地はずっとこの美しい平原で平和に共存してきたのです。
近年、文化園区の周辺には、キワタのイメージが新しく刻まれ、美しい色を添えています。また、郵便局オリジナルのオブジェは、アリム祭りの重要なアイテムであるビンロウと米酒をモチーフにした可愛いポストです。集落を探索した後、ポストカードを投函すれば、吉貝耍集落が毎年旧暦9月4日の夜祭りの一週間前に、「またおいで」という意味を込めて届けてくれます。夜祭り当日は、阿立祖を祀る大公廨が一番にぎわう時。アリム参りだけでなく、平埔族の女性たちが円になり、歌い踊る「牽曲」も見られます。透き通るような歌声は祖霊に呼びかけているようで、感動的です。夜祭は翌朝まで続き、正午に催される「哮海祭」で、海を渡ってきた吉貝耍平埔族の祖先に遠く思いを馳せて終了します。吉貝耍の年に一度の重要な祭典であり、見逃せません。

火山碧雲寺

1798年に建てられた火山碧雲寺の外観は、今でもほとんど変わっておらず、古寺には閩南と日本のスタイルが融合されています。後方の枕頭山脈を背景に、古色蒼然とした景観が広がります。碧雲寺の前方には、「出米洞」と呼ばれる洞窟があります。この洞窟には地元に伝わる奇談があります。かつて出米洞からは毎日寺で食べるのにちょうど良い分量の米が流れ出てきましたが、欲張りな僧侶が米を独り占めしようと掘ったため、二度と米が出てこなくなったという話が語り継がれています。
寺は厳かな静寂に満ち、観音様の慈悲深いお顔が、見るものの心を落ち着かせてくれます。廟の前の広場は視界が開けていて、嘉南平原全体を見渡すことができます。夕陽の光芒が幾筋も降り注ぎ、前方には山を背に建てられたハイキングコースの東屋が見えます。非常に美しい景観で、写真好きに人気の撮影スポットになっています。また、夜の帳が下り、街に明かりが灯ると、台南の夜景スポットに早変わりします。

大仙寺

白河区の枕頭山の麓にある大仙寺は、通称「旧巖」(舊巖)と呼ばれます。1701年(清の康熙40年)に建てられたもので、主神には釈迦、三宝尊、観音菩薩、地蔵王菩薩を祀るほか、開山の祖の舍利を祀り、参拝できるようになっています。大仙寺は直轄市定古跡に指定されており、国内仏教九大門派の一つの寺です。建築には中国仏教寺院の伝統的な建築様式が用いられ、控えめで美しい静謐な雰囲気がただよいます。1915年に建てられた大雄宝殿(大雄寶殿)は、奈良の東大寺を真似たもので、日本式の瓦屋根が取り入れられています。台湾で日本式の屋根構造が用いられている二つの寺のうちの一つです。大雄宝殿の梁には名匠李漢卿の作品「擂金画」があります。また、大雄宝殿の後ろにある「大悲出相図」は有名な絵師潘麗水の作品です。長年にわたり、参拝客が絶えることはなく、信徒がよく参拝に訪れ、心を静めています。

後壁駅

日本統治時代の1902年に建てられた後壁駅(後壁車站)は後壁区を代表する名所の一つです。後壁を訪れる旅行者の多くは、後壁駅で下車し、自転車をレンタルして菁寮の田野や古い町並みを目指します。駅前広場には、台湾のドキュメンタリー映画『無米樂』に登場する4人の主人公(崑濱夫妻、煌明、文林)と一頭の牛の銅像があり、後壁の精神を表しています。人気の記念撮影スポットですよ。
後壁駅の外観は、過去に一部改築されています。1941年の嘉南大地震で駅舎が傾き、修復の際に一部改築が必要になり、現在の姿になりました。外観は下見板張、基礎は洗い出し工法が用いられています。現在台湾で保存状態の良好な日本式木造駅舎の一つです。

後壁下茄苳旌忠廟

旌忠廟は1791年に建立され、主神には岳武穆王(岳飛)が祀られています。廟一番の注目ポイントはおみくじの詩です。ここで宿を借りた和尚によるもので、すべて七言絶句で書かれています。詩を読み解くには、まず詩が表す人物、典故を理解しなければなりません。中国語古文の能力が試されます。興味がある人は、ぜひ挑戦してみてください。

菁寮老街

清朝統治時代、菁寮は諸羅県(現在の嘉義市)へ向かう際の重要な宿場町でした。現在の南82号線と南85号線の十字路を中心に、周辺にビリヤード場、ホテル、宿屋、レストラン、映画館などの商業施設ができ、一時は非常ににぎわいました。
そのほか、特殊なデザインで、プリツカー賞を受賞したゴットフリート・ベームが1966年に設計した教会「菁寮天主堂」も立ち寄ってみる価値があります。菁寮老街(古い町並み)には、昔のままの景観が残されています。

80年近い歴史がある和興冰菓部は、昔の菁寮の人々がデートをした場所です。お店では、香蕉冰(バナナアイス)や紅豆牛奶冰(あずきミルクかき氷)など、昔懐かしい味わいが楽しめ、一度食べたらやみつきになるおいしさです。

菁寮はドキュメンタリー映画『無米樂』をきっかけに有名になりました。映画の中の数人の農家から自然に伝わってくる明るくポジティブな精神は観るものの心に響き、天への感謝と敬意も感じることができます。菁寮を訪れれば、そういった「人の心」を感じることができるでしょう。年配者の知恵の中だけでなく、菁寮小学校の生徒たちが校舎裏の田んぼで自然農法によって米を育てる活動からも感じられます。これは実践的かつ最高の学習です。実際に体験してこそ、ふるさとの大切な事物がわかるものです。

後壁無米楽社区

ドキュメンタリー映画『無米樂』をきっかけに広く知られるようになった後壁鄉の小さな村です。映画の中の主要人物である崑濱おじさんや文林おじさんが育った土地で、台南の農村の生き方や生活の哲学が語られました。無米楽社区(無米樂社區)を訪れたなら、古跡や古い町並みを見るだけでなく、ぜひ何日か滞在し、地域の人情味や農村の生活を体験してみましょう。崑濱おじさんのように田んぼの中で歌ったり、文林おじさんの牛舎に乗ってゆっくりと地域内を移動したり、瑞祥おじさんの時計店で隣近所の住民と一緒にお茶を飲んだりして、気ままでありながら規則正しい生活を楽しみましょう。正義おじさんの理髪店では、職人のプロ意識を窺えます。
無米楽社区では、感じることが大切です。台南の米どころならではの黄金色の稲が波打つ様や、アイデアあふれる田んぼアートも印象的です。無米楽社区では「心身一如」の境地を感じることができますよ。

台糖烏樹林園区

烏樹林製糖工場(烏樹林糖廠)は台南市の後壁区烏樹林にあります。1910年に建てられ、現在製糖は行われていませんが、運搬システムは残されており、台糖五分車(トロッコ)の動態展示もあります。
製糖業の衰退に伴い、サトウキビを運送するトロッコも使われなくなりました。もとは白河、東山と新営(新營)を結ぶハブ拠点だった烏樹林駅は、1979年に烏樹林の旅客輸送の路線が停止されたのに伴い、駅も営業を終了しました。2002年末、烏樹林駅は多くの有志の協力の下、鉄道文化を伝えるという斬新な使命を持って、再び日の目をみることになりました。
ここでは、五分車の乗車体験ができるほか、園内にはラン館(蘭花主題館)、博物館(休閒博物館)、生態教育館もあります。各種グルメ、窯焼き、ろくろ体験なども楽しめ、親子で出かけるのにぴったりの場所です。

阮家古厝(金德興薬舖)

阮家古厝は菁寮老街(古い町並み)にあり、地元の人々からは「金德興薬舖」と呼ばれています。町家建築で、国家三級古跡に指定されている、貴重な建物です。
阮家古厝は清の乾隆年間(1734-1795年)に建てられました。伝統的な町家建築の様式ですが、屋根裏があり、台湾では珍しい建築です。福州スギを使った木造建築で、鎌継ぎ工法が用いられ、釘は一本も見当たりません。菁寮老街に来たら、この趣深い阮家古厝は見逃せないスポットです。阮さんのお話も聞いてみましょう。

菁寮小学校

自転車に乗り、水田の中を走るのが、菁寮でのおすすめの過ごし方です。菁寮天主堂からさほど遠くない場所にある菁寮小学校(菁寮國小)は、後壁菁寮の見逃せないスポットです。学校の後方には、童話に出てきそうなマホガニーの森があり、その中には日本統治時代に作られた掲揚台があります。子どもが遊べる遊具もあり、大人でも思わず遊びたくなってしまうことでしょう。農村のため、学校では昆虫生態園や、ニワトリ、アヒル、ガチョウを飼育するミニ農場を作り、いのちの教育を実施しています。また、学校の子どもたちは卒業前に必ず学校の裏側にある水田の世話をします。稲の収穫時期になると、卒業が近づいていることを意味します。教育と伝承の意義深い活動です。

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