宗教廟宇

二寮の日の出を鑑賞するためは一般的に、新化から大坑農場方面へ向かって岡林に進みますが、そのエリアに慈蓮寺はあります。お寺は周囲を山々に囲まれた盆地にあり、近くには白亜土の月世界もあります。早朝の霧が立ち込める様子は小桂林の山水画を思わせる荘厳な美しさで、門の青い瑠璃瓦、白い牌坊建築と相まって心の安寧を感じさせます。その厳粛な荘厳さから信徒が増加しています。多くの敬虔な信徒が早朝からここで朝勤行を行い、体を温かな日出で清め、心もまた仏の教えで清めるため、岡林から月世界へと向かいます。

登山愛好家なら仙祖廟を知らない人はいないでしょう。仙祖廟(紫雲殿)は台南最高峰である大凍山登山口からほど近い場所にあります。仙祖廟は広大な敷地を有し、仙人呂洞賓と道教教主である李老君(老子)を祀っています。境内は幽玄を感じさせる緑豊かな環境で、庭園は木々が生い茂り、草花が咲き誇り、九龍池には9頭の龍が生き生きと再現されています。境内の雰囲気はまさに「山不在高 有仙則名、水不在深 有龍則霊(山高きが故に貴からず 仙あるが故に名あり、水深きが故に貴からず 龍あるが故に霊あり)」の言葉そのものと言えます。仙祖廟は多くの登山者にとって見逃せない休憩ポイントとなっています。優美な環境と落ち着いた廟の雰囲気は忙しい現代人が休息をとるのに最適な場所です。

台南駅と台南公園の間に位置する西華堂は、にぎやかな市街地にある秘境と言えます。往来の激しい大通りから路地に入ると、まるで静かな別世界に来たような感覚にとらわれます。西華堂は1750年に齋教金幢派の翁文峰支派によって建立されたもので、三寶仏を祀っています。現在も多くの教徒がここで寝起きし、修行をしています。静けさに満ちた厳粛な雰囲気は西華堂に足を踏み入れた人々に心の安寧を感じさせます。300年もの歴史を有しながら、西華堂の建物は完全な状態を保っており、正殿、門廊、屋根の庇は数百年前にタイムスリップしたかのように感じさせます。台南を訪れたなら、駅から出て台南グルメに直行するのではなく、都市と古跡が見事に共存したこちらを是非見に来てください。

敦源聖廟という名前に馴染みがなくても、帰仁孔廟と言えば多くの人々が知っていることでしょう。ここは旧台南県で唯一の孔子を祀った廟であり、そのため敦源社と呼ばれています。敦源社は台南県新豊区の文化人によって1883年に設立された国学団体です。1927年にメンバー、詩人、地元名士からの募金により廟が建設され、孔子銅像が奉納された民間の手で建立された廟です。廟は稜線が燕尾のように跳ね上がった古典建築様式で、境内には数多くの竜眼の古木がそびえ立っています。郊外にあるため普段は観光客もそれほど多くなく、至聖先師と静かに落ち着いた時間を過ごすことができます。孔子祭りは毎年新豊区内にある5つの役所(龍崎、関廟、帰仁、仁徳、永康)の持ち回りで開催されています。民間の廟でありながら政府によって祭事が行われる孔子廟である点が、敦源聖廟の大きな特徴となっています。

李聖宮は台南市将軍区馬沙溝地区の人々の信仰の中心であり、李府千歲、天上聖母、中壇元帥を祀っています。国内の優れた起業家の多くがこの地域の出身であり、この地域の多くの住民が李聖宮が霊験あらたかであると考えていることから、重要な行事の際には、お祝いのために国外から多くの信者が故郷へと戻ってきます。李聖宮には唐山師によって造られた100年以上の歴史を持つヒノキ造りの神輿があります。神輿は木組み工法で作られており、その精巧な彫刻は時間をかけて観賞するに値するものです。
また、李聖宮の向かいに位置する馬沙溝小漁村には雲嘉南浜海国家風景区管理所によって計画された3Dアートビレッジがあります。「漁村そのものが美術館」というコンセプトのもと、20以上もの3Dアート作品を揃え、誠品創業者の呉清友の旧宅も作品のひとつとなっており、立ち寄って楽しむことができます。
李聖宮は将軍漁港にほど近く、付近には多くの有名海産物店があります。中でもカニのお粥は最も人気があり、多くの地元民も推薦する見逃せないグルメとなっています。

イギリス、スコットランド出身のバークレー牧師は1875年に台湾にわたり、その人生の60年をこの地に捧げました。1926年に建設されたバークレー教会は、ギリシャ風の妻側とローマ風のアーチを備え、正面の半円形の白いドームには「台南東門巴克礼紀念教会」の文字がピンインで記されています。シンプルな優美さを具えた、台湾では珍しい建築様式です。

八吉境道署関帝庁は康熙帝の時代に建立されました。現存する建物はおよそ100年前に再建され、その後修復作業が行われたもので、現在は台南市の歴史的建造物となっています。廟の内部には、文化資産として保護される潘麗水大師によって描かれた門神と彩色壁画、著名な書家である朱玖瑩、黄国書による二行連の書、乾隆時代の扁額、旧廟から移設した粘度彫刻の神像などがあります。

長興宮の起源は清の康熙帝時代まで遡ることができます。この地の先人が、かつての台江內海、曾文渓で王船を拾い、これを吉兆と考え、川岸に草ぶき小屋の廟を建てました。川が絶えず流れを変え、沿岸が被害を被っていたためです。
幾度となく村は場所を移し、長興宮も現在の場所に移されました。数百年の歳月が流れた今でも、地元では三年に一度の王船祭が行われています。長興宮に入ると、大殿に祀られている主神が神像ではなく令牌であることに気付くでしょう。これは、廟があちこちに林立する台南でも珍しいものです。伝統文化が好きな旅行者には見逃せないスポットですよ。

蘇厝真護宮は、廟の前に「南瀛總鎮守」と書かれた扁額があり、堂々とした様から強い神威が感じられます。言い伝えによれば、真護宮の主神である李府千歲は、柳営から来たと言われています。清の時代、柳営の川に一艘の王船が流されました。王船は曾文渓の河畔で止まり、それを見つけた人々は神の思し召しだと考えました。王船を村に残し、村人を守る象徴としたのです。一般的な王爺信仰文化と同じく、真護宮でも三年に一度、王船祭が行われます。廟内には現在1958年に造られたヒノキの王船が一艘保存されています。廟の大切な宝であり、国宝級の王船とされています。そのため、三年に一度の王船祭の際には、身動きが取れないほど大勢の人が訪れます。不動の人気を誇る王爺信仰の廟です。

1810年に建てられた慶安宮は、市定古跡です。前身は五文昌を祀る文昌祠でしたが、1862年に発生した嘉南大地震で損壊したため、規模を拡大し媽祖廟として再建され、台南の三大媽祖廟の一つになりました。廟には300年余りの歴史があるオランダ時代の古井戸があります。オランダ人による統治時代を物語る歴史の跡です。古井戸は長い間地下に埋もれていましたが、腐臭や混濁はなく、今でも地下水が湧き出しています。善化区を訪れたら、ぜひこの荘厳な慶安宮に立ち寄り、歴史の足跡をたどってみてください。