宗教廟宇

安平観音亭は1590年に建てられました。主神には観音菩薩を祀り、正殿の主神像にはすでに400年あまりの歴史があります。 金色に輝く外観は安平観音亭のもっとも印象的なところです。参拝に訪れる人々を後光のように包みます。観音亭の近くには安平老街(古い町並み)や安平古堡などの有名な観光地があるほか、名産品やご当地グルメの店も多く、心静かに参拝した後は、安平の昔ながらのB級グルメを楽しむのもおすすめです。

安平古堡のそばにある安平開台天后宮は、安平区最大の廟建築で、広大な敷地を有しています。天后宮の媽祖像は「軟身神像」と呼ばれる手足が動かせる珍しい神像で、1668年に鄭成功の船隊が湄洲から持ち込み、廟を建てて祀ったと伝えられています。それが開台の名の由来でもあります。台湾の媽祖信仰の中心の一つで、4年に一度開催される安平迓媽祖の祭事は、天后宮最大の行事です。

開元寺は台南四大古刹の一つで、別名は北園別館です。1680年に建てられました。開元寺の前身は、延平王鄭経が母董太妃への孝養のために建てた別館でした。寺の境内には庭園が造られ、楼亭、宮房は精緻で雅やかな雰囲気です。また、曲がりくねった小橋楼台などの建築物もあり、開元寺の庭園は台湾一とも言われます。現在寺内には、明鄭時代の文物が数多く保存されており、台湾早期の歴史を知る重要なスポットになっています。近年は仏学院、幼稚園、慈愛医院が創設されました。現代の生活に寄り添い、日常に溶け込む美しい歴史建築です。

1662年の明の時代に建てられた開基天后宮は台湾で最も早い時期に建立された民間の媽祖廟です。大天后宮に比べ規模が小さいことから、台南の人々からは小媽祖廟の名で親しまれています。小さな廟ながら、大きな神威を感じることができます。
近年は開基天后宮の向かいにある舊來發餅舖が人気を集めていることから、この一帯を訪れる観光客が増えています。さらに新美街のアイスクリーム移動販売車が天后宮の前に店を出しており、廟の新しいスイーツ文化を作り出しています。

三山国王は広東で生まれた民間信仰です。1742年に建てられた台南三山国王廟は台湾で唯一、正統な広東式の建築物です。主神には三つの山神、巾山国王、明山国王、独山国王を祀ります。三山国王のほか、韓文公と天上聖母も祀られています。入り口に立つと、一般的な廟とは少し異なることに気付くでしょう。色とりどりの鮮やかな雰囲気はなく、壁の彩色も控えめです。また、拝殿にある龍と虎のレリーフは非常に精緻で、見逃せないポイントです。 そのほか、廟内には歴史ある扁額が数多くあります。正殿には乾隆皇帝から賜った「褒忠」、韓文公祠には光緒皇帝から賜った扁額があります。正殿後方には四つの廂房(脇部屋)があり、そのうちの一部屋に三山国王夫人が祀られています。廟全体から潮州や汕頭の雰囲気が伝わっています。閩南式建築とは異なる廟建築に興味があれば、ぜひ訪れてほしい歴史的建築物です。

1684年に建てられ、主神に玄天上帝を祀ります。その歴史と変遷は、当時の塩田文化に深い関わりがあり、300余年来、地域の農家や塩で生計を立てる人々を見守ってきました。地域の人々の信仰の中心です。早期の塩埕(鹽埕)の人々は、天日干しした塩を北極殿付近の「泮港」から安平などに運びました。現在は港の痕跡を見つけることはできませんが、廟の近くに複雑に伸びる街道にその面影をうかがうことができます。北極殿で12年に一度行われる大建醮の巡行ルートは、古い地図に描かれた河道にほぼ一致します。そのことからも天日塩の歴史との関連性を見ることができるでしょう。

台南市南区湾裡(灣裡)にある万年殿(萬年殿)は、湾裡地区の主要な信仰の場です。1729年に建てられ、主神に葉、朱、李の三府千歲が祀られています。12年に一度執り行われる王醮大典は貴重な祭事で、数ヶ月にわたって祭典儀式が催されます。この時には主神の王船が練り歩き、大勢の人が参加します。通常、王船信仰では王船を焼き払い、世の中の疫病を持っていてもらう象徴としますが、ここでは王船が地元の人々の最初の信仰であることから、練り歩くだけで、王船は焼きません。これが万年殿の儀式の一番の特色です。そのため、廟内にある古い王船を一目見ようと普段でも多くの旅行者が訪れています。

万皇宮(萬皇宮)は1739年建立。主神に代天巡狩の葉、朱、李の三府千歲を祀り、地域の信仰の中心になっています。廟は、皇宮を模した非常に大規模で壮麗な建物です。廟内の彫刻はすべて有名な職人が手がけており、潘麗水、蔡草如、施弘毅などの作品もあります。12年に一度行われる万皇宮王船建醮は地域の一大祭典です。廟の前の広場には、廟と同じく壮観な超大型の祭壇と王船が置かれ、多くの文化好きな写真愛好家にとって見逃せないイベントになっています。
近年は喜樹芸術集落のクリエイターズマーケット「喜事集」が人気を集めていることから、参拝客も増えています。

全台開基四鯤鯓龍山寺は、全台開基四鯤鯓祖師公廟とも呼ばれ、台湾で初めて清水祖師を祀った廟です。1665年(明の永曆19年)頃に建てられ、鄭成功とともに台湾に渡った泉州府安渓県の軍民が、安渓清水巌から分霊した清水祖師の神像と、漳州府平和県の移民が三平寺から迎えた三平祖師の神像を合わせて、四鯤鯓に建てた廟に祀りました。
長い歴史の中で、何度も修繕や拡張工事が行われ、現在のような煌びやかな建物になりました。龍山寺と名が付いていますが、主神は清水祖師で、そのほかの龍山寺のように観音菩薩ではありません。
龍山寺の最大の特色は門神です。一般的な門神とは異なり四大鬼王が描かれています。これは清水祖師に降伏した部将だと言われています。名匠潘麗水の作品です。

1758年に建てられた塩埕天后宮(鹽埕天后宮)は、主神に天上聖母(媽祖)、配神に武恵尊王を祀っています。かつて廟の後方にあった港は「帆港」と呼ばれ、塩田で取れた塩はここから安平に運ばれました。そのため、地元では「帆港天后宮」とも呼ばれます。廟の外に建てられている石碑は、媽祖のお告げを受けて祀られたもので、塩埕天后宮の一つの見所になっている石頭公です。