地方展館

漚汪は将軍区最大の集落です。日本統治時代以来、漚汪でもっとも有名な人は「竹篙山之神」林崑岡です。林崑岡(1832-1895)は武秀才の出で、1895年10月に日本軍が台南に迫った際、数千人の義勇軍を率いて対抗しました。最後は急水渓南側のほとりにある竹篙山で戦没しましたが、その武勇伝は語り継がれてきました。記念館は文衡殿の2階にあり、彼の生涯が詳しく紹介されています。空間は小さいものの、古い文物や写真、絵画や書などの作品が数多く展示されています。

広大な塩分地帯の田園の中に、白い上品な趣の建物が建っています。建物の前には、赤レンガが敷き詰められ、低い塀があり、入り口に香雨書院と書かれています。香雨書院ではさまざまな講座が開かれているほか、地域の文物やアーティストの作品が展示されています。塩分地帯に関する古い写真や地図などの展示物を通して、塩分地帯の歴史や文化により深く触れられる場所になっており、塩分地帯に芸術文化の息吹を吹き込んでいます。

方円美術館(方圓美術館)は将軍区でもっとも文芸の薫りが高く、もっとも美しい建物の一つです。昔は将軍区初の郷長、黃清舞の故居「遂園」で、また黃元郷長が設立した診療所「遂生醫院」でもありました。1944年に建てられたもので、最大の特色は、四合院の回廊にアーチを取り合わせていることです。東洋と西洋の建築様式を融合させており、当時としては非常に前衛的なデザインでした。財団法人方円文化芸術基金会が引取り、改修工事を行い、現在の方円美術館として再生しました。数多くの現代アート作品が展示されていて、かつての主人、黃元郷長の書斎や、故居に残されていた文物や古い写真なども展示されています。昔の文学青年の生活の様子を知ることができるだけでなく、現代の文学青年風のアート作品も鑑賞することができます。

1905年に設立された蕭壠製糖工場(蕭壠糖廠)は佳里製糖工場(佳里糖廠)とも呼ばれ、1908年から製糖を始めました。日本統治時代に「明治製糖株式会社」が台湾に設立した一番目の新型製糖工場です。1998年、製糖業の衰退を受け工場は閉鎖されましたが、2003年、放置されていた空間を再利用して蕭壠文化園区(蕭壠文化園區)が作られ、芸術文化基地として新たな生命が吹き込まれました。
蕭壠文化園区はまさに地元の人たちにとっての行楽地です。製糖工場をリノベーションした空間は台南の趣に満ちた憩いの場になっています。建物の周囲は公園のようになっていて、倉庫や工場だった建物はアートの展示場に生まれ変わりました。特別に残された屋根の梁は、下から見上げると、青空をバックに幾何学模様のラインが放射状に広がり、周辺の緑も合わさって、気持ちの良い光景を作り出しています。

蔴荳古港文化園区(蔴荳古港文化園區)は麻豆でもっとも有名な伝説の場所です。水崛頭は伝説の中で龍穴(風水上、繁栄するとされる土地)とされ、天子が現れる場所と語り継がれてきました。地元の人々もこれを信じて疑いません。また、歴史の上では、ここは倒風內海の港でした。水堀頭は倒風內海の3つの川が合流する地にあり、船が直接福建へ渡ることができました。水堀頭港は砂糖の輸出港で、当時先住民の平埔族が居住していた麻豆社にはタイワンジカ(梅花鹿)が生息していたため、鹿皮も大量に輸出されました。商船が貨物を卸す水堀頭の河岸一帯はとてもにぎわい、麻豆は発展していきました。当時付近には、平埔族のほか、主に漢人が暮らした麻豆街がありました。台湾に渡ったばかり漢人は、ほとんどが港付近に居住し、街を形成していましたが、やがて水路が塞がれ、海岸線が西へ後退し、現在は埠頭の一部が残るだけになっています。古水道の遺跡やここで発見された古い船釘が、商船の往来で栄えた昔日の港の情景を思い起こさせます。より詳しい麻豆の歴史を知りたくなったら、すぐそばにある傾いた外観の倒風內海故事館に立ち寄ってみてください。

八田與一紀念園区は、烏山頭ダムの北側に位置し、嘉南大圳の建造者、八田與一を記念して建てられました。記念園区は2009年から2年かけて修復され、2011年に正式に一般開放されました。もとの姿に忠実に再現されており、当時、修復工事を担当した技師は八田與一の故郷である石川県に赴き、その建築様式や日本の木造建築の技術を取り入れて、この公園を造り上げました。大家族を思わせるデザインになっています。 公園の外側にある恋占いの石(戀占石)も必見です。一生を台湾に捧げ、深い愛情で結ばれていた八田夫妻の祝福を受けられるといいですね。

台湾で唯一、竹炭を主役にした展示館で、龍崎区の農協が運営しています。地元で盛んに生産される竹を焼いて作った良質な竹炭製品を紹介していて、各種竹炭製品が手に入るほか、炭の種類について知識を深めることができます。また、近くには珍しい竹炭窯もあるので、その構造や竹炭が作られる様子を見ることができます。DIY体験では、竹炭を使った手作り石鹸や除臭袋を作ることができますよ。

入り口の端にある広場には、壮大な阿波羅噴泉(アポロンの泉広場)があります。水堀にかかる橋の橋脚には勇猛な白い獅子の頭部を象った彫刻が施され、荘厳なオリンポス十二神も整然と並べられています。博物館正面入り口はドーム型の屋根が高々とそびえ、各面ごとに異なるギリシャ様式の列柱が醸す威厳は、数々の宝物を所蔵する宮殿の華やかさをより引き立てています。博物館の最高地点に安置されている彫刻は「榮耀天使」です。フランスの彫刻家ルイ・エルネスト・バリアスの作品を模倣して作られました。手に月桂冠と角笛を持った栄光の天使は、奇美博物館建築の頂上に永遠に佇み、この土地を守り、世の中の素晴らしいヒト、モノ、コトを称えています。 奇美博物館は2015年にオープンしました。建築主体のファサードは長さ150メートル、高さ42メートルで、13億元を投じて建てられました。奇美グループの許文龍氏が建造後、台南市に寄贈した大きなプレゼントです。開幕後は台湾各地や海外から旅行者が訪れるマストスポットになっています。 敷地面積9.5ヘクタールの博物館には、数多くの貴重な国際レベルの芸術品が所蔵されています。「3歳のこどもから90代のお爺さん、お婆さんまで、観て、聴いて、理解することができる音楽や芸術のある地元の博物館。敷居の高くない美学と文化の殿堂」という許文龍氏の願いを実現しています。

十鼓文創園区は敷地面積が約5ヘクタールあり、日本統治時代に建てられた古い倉庫が16棟あります。2005年に打楽器パフォーマンス団体の「十鼓擊樂團」が経営を引き継ぎ、リニューアルしました。使われていないスペースの活用をコンセプトに、長年放置されていた百年近い歴史がある製糖工場に新しい息吹が吹き込まれました。再び輝きを取り戻した倉庫群に、十鼓ならではの台湾の打楽器音楽を融合させています。アジア初の打楽器音楽をテーマにした国際芸術村です。 十鼓文化村にある「夢糖工廠」は、夜になると名実ともに夢の工場になります。古い製糖工場がライトアップで美しく照らされ、巨大な歯車はパフォーマンスの舞台へと変身します。糖蜜を保存する巨大なタンクは憩いスペースとカフェになっています。そのほか園内には、5階の高さから滑り降りるスリル満点の滑り台や、高所から奇美博物館を見下ろせる天空歩道などがあります。また、近年は7階の高さから飛び降りるバンジージャンプも増設され、スリルを味わいたい旅行者が数多く訪れています。

車で台3号線を走る時は、ぜひ立ち寄りたい場所です。台湾映画『總舖師』(邦題:祝宴!シェフ)のロケ地として爆発的に人気スポットになりました。江家古厝はよく保存された集落で、祠堂を軸にした四合院造りになっています。子孫が暮らす脇部屋(廂房)が左に六棟、右に七棟あり、13匹の龍を象徴しています。また、外側には豚小屋などもあります。

300年以上継承されてきた集落で、現在も江家の後裔がここで暮らしています。現在は20余りの家族、約100人が住んでおり、ほとんどが高齢者とこどもです。
宗祠堂は、地面中央に黒い円があり、階段からもう一方の建物までを17枚の敷石が繋いでいます。花嫁を迎える際、かごに乗って来た新婦は、この円の中央でかごを降り、残りの7枚の敷石を進んで祠堂の先祖にあいさつをする風習があります。今はかごが車になりましたが、この伝統は引き継がれています。

楠西区を訪れるなら一度立ち寄ってみる価値がある古い集落です。ただし、一般の住居ですので、マナーを守って静かに参観し、住民の方がいる場合は一声かけるようにしましょう。また、写真撮影についても住民の方に配慮するようにしてください。